野ろばは、青草のあるのに鳴くであろうか。 牛は飼葉の上でうなるであろうか。
野ろばは、青草のあるのに鳴くであろうか。牛は飼葉の上でうなるであろうか。
野ろばが鳴くのは、草がないからだ。 飼い葉のあるうちは、牛もおとなしくしているものだ。 食べ物に塩気がなければ、人は苦情を言う。 生卵の白身ほどまずいものはない。 見るだけで食欲がなくなり、 食べるところを想像するだけで吐き気がする。
青草があるのに野ろばが鳴くだろうか。 飼葉があるのに牛がうなるだろうか。
また彼に言った、「わたしどもには、わらも、飼葉もたくさんあります。また泊まる場所もあります」。
だれが野ろばを放って、自由にしたか。 だれが野ろばのつなぎを解いたか。
山を牧場としてはせまわり、 もろもろの青物を尋ね求める。
味のない物は塩がなくて食べられようか。 すべりひゆのしるは味があろうか。
あなたは家畜のために草をはえさせ、 また人のためにその栽培する植物を与えて、 地から食物を出させられる。
神よ、しかが谷川を慕いあえぐように、 わが魂もあなたを慕いあえぐ。
野ろばは、はげ山の上に立って、 山犬のようにあえぎ、 草のないために、その目はくらむ。